猫と分子栄養学。

猫エイズ対策にできること。

ワクチンを打たない理由。

コブちゃんは1年3ヶ月前にシェルターから譲渡してもらった。

譲渡の際には問答無用でワクチン接種されてしまったが、1年経ったので抗体価検査を受けた。

パルボウイルスの抗体数が有効だった。

調べてみると、ワクチンで免疫応答すればパルボウイルスの免疫は短くても7.5年は持続するようだ。

カリシウイルスの抗体数は有効数を割っていた。

でもカリシウイルスやヘルペスウイルスは、もともと免疫が長くて1年程度しか続かないようだ。(通常3ヶ月をピークに抗体は減っていく。)

「世界小動物獣医師会」の「ワクチネーションガイド」に記載がある。

 

FPV=パルボウイルス、猫汎白血球減少症や猫ウイルス性腸炎

FHV-1=猫ヘルペスウイルス

FCV=猫カリシウイルス

MLV=生ワクチン

猫のコアワクチンに関して重要なことは、FCV および FHV-1 ワクチンがもたらす防御効果が、 FPV ワクチンがもたらす免疫効果と同等ではな いと認識することである。つまり、猫の呼吸器疾 患のコアワクチンには、犬のコアワクチンにみら れるような強固な防御効果も、免疫持続期間も期 待すべきではない。FCV ワクチンは FCV の複数 の株に対して交差防御免疫を誘導するようにデザ インされているが、それでもワクチン接種を受け た成猫に感染や発症がみられる可能性はある。(この後犬に関する記載の為、中略)

(Pedersen et al. 2000, Schorr-Evans et al. 2003)[EB1]。強毒ウイルスの感染を防御できる FHV-1 ワクチンはなく、また感染した強毒ウイル スは潜伏し、強いストレスがかかった期間に再び活性化する可能性がある(Richter et al. 2009, Maes 2012)[EB1]。再活性化したウイルスはワ クチン接種済みの動物に臨床徴候を発現させ、あるいはウイルスが感受性の動物に伝播し、感染症 を引き起こす可能性がある。VGGは、FHV-1 および FCV に対するリスクが低い猫については、公表された研究でそれらのコアワクチンの不完全 ではあるが臨床上有意な免疫の最短持続期間が 7.5 年であると示されたことに基づき、3 年に 1 回のワクチン再接種を推奨する(Scott & Geissinger 1999)。ごく最近実施された MLV FHV-1/FCVワクチンの研究では、ワクチン接種後3 年の時点でのFHV-1 に対する防御効果は大 きく減弱し、不完全となっていたように思われたが、FCV の部分的防御効果はScott および Geissinger によって1999 年に示されたものと同 等であった(Jas et al. 2015)[EB1]。VGGは、リスクの高い状況では猫に FHV-1 / FCVに対するワクチンを年 1 回再接種することを推奨す る。リスクが低い猫は室内で 1 頭飼いされており、ペットホテルを利用しない猫として定義できる。リスクが高い猫は、定期的にペットホテルを利用する猫、または多頭飼育で室内と屋外を行き来する猫として定義できる。

引用:WSAVA(世界小動物獣医師会)VGG(ワクチネーションガイドライン)グループ「犬と猫のワクチネーションガイド」「基本的な接種スケジュール」より。

 

MLV コアワクチンの接種に応答した猫は、再 接種を行わなくても FPV に対して強固な免疫を 何年にもわたり維持する(免疫記憶)。FCV およ び FHV-1 に対する免疫は不完全なものにすぎない(Scott and Geissinger 1999, Jas et al. 2015)。VGG は、「低リスク」の成猫については MLV コアワクチンの再接種を 3 年以上の間隔で行うことを推奨する。「高リスク」の猫(上記の定 義を参照)については、3 年毎あるいはそれ以上の間をあけて FPV ワクチンを接種し、FCV および FHV-1 ワクチンについては年 1 回の接種をペットホテルへの年 1 回の定期訪問の直前に行うのがよい。このような推奨は概して不活化コアワクチン(狂犬病を除く)やノンコアワクチン、また特に細菌抗原を含有するワクチンには当てはまらな い。

引用:WSAVA(世界小動物獣医師会)VGG(ワクチネーションガイドライン)グループ「犬と猫のワクチネーションガイド」「成猫における再接種」より。

 

DOI=免疫持続期間

・攻撃試験と血清学的検査の結果から、MLV ワクチン接種後の DOI は 7 年またはそれ以上持続する。 

・不活化汎白血球減少症ワクチン接種後の DOIは、最低でも 7.5 年持続することが示されている(Scott & Geissinger 1999)。

 引用:WSAVA(世界小動物獣医師会)VGG(ワクチネーションガイドライン)グループ「犬と猫のワクチネーションガイド」「ファクトシート:猫汎白血球減少症ウイルス(FPV)ワクチン」より。


ワクチンを打つベネフィット


①接種直後から3ヶ月ほどは、ヘルペスウイルスやカリシウイルスによる猫上部気道感染症に対しての予防効果が期待でき、その後は時間とともに低減する。

→強毒のFHV-1(猫ヘルペスウイルス)は防げない。

→3ヶ月しか効いてない可能性。

②生ワクチン接種で正しく免疫応答すれば、免疫記憶によりパルボウイルスは7年以上予防効果が期待できる。


ワクチンを打つリスク


①猫注射部位肉腫。(特にアジュバントを含む不活化ワクチンが高リスク。)

湿潤性が高く、広範囲な切除が必要となる為に切断可能な四肢に接種する。

→肉腫、接種部位の断脚のリスク。

②アジュバントによる副反応やアナフィラキシーショック。

③腎不全発症リスクの上昇。

 

③に関しては

http://www.catinfo.org/?link=vaccines

こちらで確認できる。

Dr. Lisa Piersonはアメリカの獣医師。

腎不全とワクチンの関係以外の内容も丁寧に説明されているが、長くなるので一部簡単に抜粋する。(意訳)

ワクチンの製造に使用されるウイルスは、いわゆる「細胞培養」で増殖される。

混合ワクチンの製造に使用される細胞は、ネコの腎細胞。

これらの腎臓細胞がワクチンと共に猫に注入されると免疫システムはそれらを異物と見なし、それらに対する抗体を作る。

これらの抗体は、注射された腎臓細胞と猫自身の腎臓組織との違いの区別がつかず、免疫は猫自身の腎臓を「攻撃」してしまう。

とのこと。

これにはコロラド州立大学のコンパニオンアニマルスタディセンターの研究が引用されていた。

 

カリシウイルスやヘルペスウイルスに関しては、軽症で治癒する可能性が高く毎年ワクチンを打ち、リスクを負う価値があるのかは非常に疑問だ。

完全室内飼いで他所の猫を触る機会がない為、パルボの抗体価検査を毎年定期健診の際に確認すれば良いという結論に至り、かかりつけの動物病院の先生と相談して、ワクチンを打たないという選択をした。

f:id:siam-cobu:20200904170621j:image

パルボウイルスの抗体価を見る限り、ワクチンを全面的に否定することはできない。

だけど毎年もしくは3年毎に何も考えず漠然とワクチンを打つことは、リスクが大き過ぎるように私は思う。