猫と分子栄養学。

猫エイズ対策にできること。

腸とグルタミンと免疫。

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最近うちの子になった茶トラのトラちゃん(推定2歳)。

 

トラちゃんはお腹が弱くて、シェルターで何度か病院に連れて行ったけど原因不明。

原因不明だけど、軟便ということは胃腸が弱いのかな。

慣れないシェルター生活→うまくごはんが食べられなかった→タンパク質、ミネラルが不足する→消化酵素が少なくなってしまったのだろうか。

もしくはワクチンや抗生剤で腸が弱くなってしまったのだろうか。

(抗生剤は腸内細菌にダメージをもたらすので、簡単には使ってほしくない。)

原因がわからないのだけど胃腸の弱さは万病のもと、しっかりと改善しなければならない。

まずは高度に加熱加工されたペットフード(カリカリ)やそれらに含まれる防腐剤、穀類やグルテンも腸内細菌や腸粘膜に大きなダメージを与えるので、これらを改善することが最優先。

極力減らす。

下痢をしている場合は絶食する方が良いこともあるけど、もともと食が細い猫、カリカリを常食にしている猫や持病のある猫は絶食には適していない。


うちの猫ごはんは1日4回。

そのうち3回は30gの生肉や内臓肉、卵黄などに20ccのお水と天日塩を加えたもの。(1日1回は市販のウェットフードや缶詰。災害時に生肉が用意できないことを想定して普段から少しずつ取り入れている。)

最初はカリカリしか食べられず少食だったコブちゃんも、いまは生肉が食べられるようになった。

運動量が多く若いからか、トラちゃんは同じ量では足りない。

たくさん食べさせてあげたいのだけど、食べ過ぎた日も軟便になってしまった。

栄養がうまく吸収できていないからなのか、すぐにお腹が空いてしまうよう。

台所に立つ度に「ごはんをください」アピールをしてくる。

トラちゃんの胃腸を強くして、お腹いっぱい食べさせてあげたい。

 

胃壁の強化には高タンパク質=肉中心の手作り食やウェットフード。

胃酸の強化にはクロール(塩素)=海塩や岩塩。
腸壁を強くするにはグルタミン=生の肉類、生魚、生卵など。

生肉ごはんが食べられれば特に問題はなさそう。

中でもグルタミンは腸壁の修復に(=免疫機能にも)とても重要。

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グルタミンは条件下必須アミノ酸。

体内で合成することができるアミノ酸だけど、条件によっては足りなくなってしまう。

グルタミンの生成や放出には3通りある。

①もともと筋細胞に含まれてていたものを放出。

②筋肉を構成するタンパク質が分解されるときにグルタミンもできる。

③筋細胞がほかのアミノ酸(グルタミン酸)とアンモニアを反応させてグルタミンに生成する。


③によるグルタミンの供給量が体内で最大となるのだけど、ストレスがかかった状況(病気、ケガ、術後、栄養不足)では体内の供給だけでは免疫細胞のエネルギー源となるにはグルタミンが足りなくなってしまい、食事から摂取することが必要となる。

ただしグルタミンは熱や酸に弱いので、食事から摂取する為には生肉ごはんをメインにする必要がある。

手づくり食でも加熱食の場合、サプリでグルタミンを追加しなければ不足するかもしれない。

グルタミンは40℃以上の熱で変性してしまうから。

だからグルタミンだけで考えると、ボーンブロススープは腸壁修復効果は低いのかもしれない。

また酸に弱いということは胃酸で変性されることも考えられる為、豊富にグルタミンを含む高タンパク質の食事=生肉食を日常的に食べられることが望ましい。

 

生の鶏肉に含まれるグルタミンは平均で38.78㎎/100gとなる。

(牛肉は平均77.71㎎/100g、豚肉で平均42.39㎎/100g)

(「長野県の食肉遊離アミノ酸」より引用。)

食事量にはよるけど、鶏肉だけなら130g食べたら1日あたり約50㎎のグルタミンが摂れることになる。

人間の健康維持には10g必要とのこと。猫が腸の修復をする際には500㎎〜5000㎎必要。(本村伸子先生の本より)

胃腸が弱いではすまされない 犬と猫のためのナチュラルケアシリーズ4

体重で比較してみると、人間50kgで猫5kgとして1/10=1g。

とりあえず1gを目安とすると、鶏肉2.6kg食べなければ摂れない。

だから生肉ごはんやボーンブロススープなどで腸の不調が改善されなければ、サプリでのグルタミン強化を検討するといいと思う。

 

さらにグルタミンは副腎皮質ホルモンによってブドウ糖に変えられてしまう為、ストレス過多(交感神経優位な状態)やステロイド治療中だと通常の食事からでは補えていない可能性がある。

さてここで、血糖値を上げるホルモンの話をします。この種のホルモンには4種類あって、それらは、成長ホルモン、グルカゴン、アドレナリン、副腎皮質ホルモンです。

人が朽ち果ててゆくとき、すなわち、死に向かってゆく時、これらのホルモンは順に分泌が止まってゆきます。

死に行くときに成長する必要はないですね。そこでまず、成長ホルモンの分泌が停止します。

次はグルカゴンです。これは膵臓から分泌されるホルモンですが、血糖値を下げるインスリンとワンセットで考えると、この状況で血糖値を下げるホルモンとリンクする必要などなく、これも次第に分泌が止まっていきます。

さて、次はアドレナリンです。これは体を興奮させて頭が冴える状態にもってゆき、同時に血糖値も上げるホルモンですが、死にゆく途上では疲れ果て、アドレナリンに反応しにくくなります。そこで心臓が止まりかけた時、強心剤としてアドレナリンを注射することになるのです。

最後まで出続けるのが副腎皮質ホルモンです。このホルモンの本質は、体のあらゆる部位を犠牲にしてでも脳にブドウ糖を送ろうとすることです。従って、白血球の活性を落としてグルタミンの使用量を減少させらそのグルタミンを肝臓でブドウ糖を作るための原料にします。

また、筋肉を分解してグルタミンを作り、これを肝臓に送って、同様なやブドウ糖を作ったりもします。

(星雲社 「グルタミン」柿崎 裕彦 著 より引用。)

待望の感染防御法,発見!!!免疫力アップの最強アミノ酸! グルタミン

免疫機能を投げ打って、脳を守るための一か八かのホルモンがステロイド(副腎皮質ホルモン)。

ステロイド治療をすると糖尿病になりやすいのはグルタミン→ブドウ糖に変えられてしまうから。

体内のグルタミンが減ってしまえば、免疫細胞のエネルギー源が減ってしまう。

だからステロイド治療は長期はできない。

免疫は下がり、腸壁が弱くなり栄養の吸収が悪くなる。

筋肉が減り、そのうち糖尿病になる。

そもそもステロイド治療が必要にならないようにする為にも、グルタミンがとれる生肉ごはんを日常的に取り入れることはとても大事。

強い胃腸は強い免疫機能を持つ。

なにより美味しくごはんが食べられることは、きっととても幸せなことだから。

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トラちゃんの軟便が少しずつでも改善していきますように。