猫と分子栄養学。

猫エイズ対策にできること。

猫にエビアン。

マグネシウムについて考えた。

きっかけはコブちゃんの便秘がエビアンで改善したから。

生肉(&内臓肉)ごはんだと食物繊維がないからかなと思い、ミヤリサン(酪酸菌で腸内環境を改善)やビタミンC(便秘が改善することがある)をあげてみたりした。

多少は改善はされるんだけど、もう一歩という感じ。

ビタミンCを増やしてもいいのだけど、何か根本的に違う栄養素の不足かもしれない。

グリーントライプや野菜に見向きもしなくて、食べさせられる食物繊維がうまく見つけられなかったんだけど、そういえば人間の便秘にはマグネシウムが効果的。

うちのカルシウムはサンゴカルシウムだったので、マグネシウムが足りなかったのかもしれない。

一般的に手作り食で使われている卵殻カルシウムの方がマグネシウムを含むのかもしれない。

卵殻をパウダーにする為のミルを手配して、届くまではミネラルウオーターのエビアンでマグネシウムを補給してみた。

摂取量は60〜90㎖/日 。

すると気持ち良いくらいに便秘が改善したのだ。(色ツヤの良いのが3日分くらいでた。)

 

エビアンでマグネシウムを摂ってみようと思い立ったのは、エビアンを推奨している高知県の穴井直博先生という獣医さんのブログを読んだから。

ブログはとても興味深くて、こんな先生に診てもらえたら飼い主としてはいろんな疑問に答えてもらえそう。

マグネシウムの別の顔として、アルカリ尿を作る動物にとってはストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)と呼ばれる尿結石の原料になるミネラルでもあります。pHを調整するフード(療法食)を与えているワンちゃんネコちゃんには与えてはいけないミネラルです。ですが・・・、本来、哺乳類の尿は一定ではありません。肉を食せば酸性尿になるし、植物を食せばアルカリ尿になります。1日のトータルの尿が弱酸性であれば健常なのです。ところが、ドックフードやキャットフードしか与えていないと身体で作られる尿は常に一定になることがあります。その時の尿がアルカリだった場合、「このワンちゃん(ネコちゃん)の尿中にストルバイト結晶がたくさん出ています。この子たちはアルカリ尿を作る体質なので、膀胱結石を作らせないためにもフードを酸性尿を作る療法食に変えましょう」というのは如何なものか。療法食に切り替える前に、試してみることは多々あると思います。

 

最後に、ミネラルは一つの種類を過剰に摂取すると、他のミネラルの吸収を阻害する働きがあります。例えば、マグネシウムを十分量摂取していても、過剰のカルシウムを摂取すると、体内からマグネシウムの排泄量が摂取量を上回り、欠乏症状を起こすことも確認されています。このような実験をバランス試験と言います。この実験によるカルシウムとマグネシウムの摂取比率は、カルシウム:マグネシウム≒3:1程度とされ、日本国内での推奨比率はカルシウム:マグネシウム=2:1とされています。では、動物の摂取比率は? それを確認できる論文は見当たりません。大学を卒業した後になって、ワンちゃんのバランス試験を行っておけばよかったと悔やむことがあります。ワンちゃんへの推奨比率を申し上げることは出来ませんが、マグネシウムも含めて、ミネラルはバランス良く摂取させたい栄養素です。

2012 8月13日 ミネラルを摂ろう「マグネシウム Part2」アミール動物病院 ブログより引用

 

カルシウムとマグネシウムのバランスがエビアンでは良いとのこと。

そしてミネラルはビタミン摂取より、より一層バランスが大切。

 

マグネシウムといえば、摂取量を気をつけなければいけないミネラルの代表格みたいなイメージがあった。

ストルバイト結石の原料となりうるミネラルだから。

でも便秘にはマグネシウムが効くかもしれないし、不足の可能性があるなら補いたい。

するとこんな記述も見つけた。

結石を作るのはアルカリ尿、もしくはアルカリ性の「酸化マグネシウム」で、自然界に存在する「塩化マグネシウム」は結石を作らない。

 

マグネシウムには、化学合成品であるアルカリ性の「酸化マグネシウム」と自然界にある弱酸性の「塩化マグネシウム」の2つがありました。

この猫用ドライフードには、化学合成品である酸化マグネシウムを使用するという大きなミスを犯しました。

多発した猫の『ストルバイト尿石症』は、未熟なペット栄養学の顛末だったのです。

アルカリ性の酸化マグネシウムは、結石を形成し、弱酸性の塩化マグネシウムは、結石を形成しないと研究結果が出ました。

化学合成品と自然界産物の違いと、アルカリ性と弱酸性の相違。

新たな犯人は、アルカリ性の酸化マグネシウム。

それでは、弱酸性の塩化マグネシウムに切り替えればよいのですが、いまだに結石は減らず今日に至っています。

塩化マグネシウムでは、結石にならないことが判明したにもかかわらずです。

解明されたにもかかわらず結石を患う猫は絶えません。

ここに猫用ドライフードの悪評が残った所以でしょう。

ではなぜ結石になるのか?

 


本当の新犯人は、別のところにひそかに隠れている。

新犯人探しが大詰めに近づいたような気がします。

最新の研究では、『ストルバイト尿石症』の原因は、硫黄を含むアミノ酸不足説です。

私自身、この説には大賛成です。

新犯人よ出てこいと心の中で叫んでいます。

農業部門の技術士研究家です。

今後の研究成果が待たれます。

マイティウェーブ 食の安心安全を考える 第2章 ドライペットフードによる「猫ストルバイト結石症」の出現 より引用


ペットフードに添加されているのが合成の「酸化マグネシウム」であれば、ストルバイト結石のリスクがある。

さらに含硫アミノ酸(メチオニン、システイン、ホモシステイン)の不足もストルバイト結石の原因となりうる。

含硫アミノ酸は代謝されて硫酸を生じ、酸性の尿として排出される。

含硫アミノ酸を豊富に含むのは肉や魚。

肉や魚の摂取不足と水分摂取不足がストルバイト結石の原因となる。

猫は真性肉食動物だからそういうカラダの構造になっている。

(ビタミンCも酸性尿になる。)


マグネシウムはおよそ300種類の代謝に関わる重要なミネラル。

体内のマグネシウムの大半は骨に含まれている。

骨や歯を強くする。

体温や血圧の調節。

神経や筋肉の正常な機能を保つ。

エネルギー産生。

インスリンの分泌をコントロール。

DNAやRNA、グルタチオン(抗酸化物質)の合成。

さらにマグネシウムはカルシウムと拮抗するミネラルなので、マグネシウムが少な過ぎるとシュウ酸カルシウム結石のリスクが上がる。

 

だからマグネシウムはしっかり摂取したい。

そもそも野性の猫が主食にする鳥や野ネズミは人間より骨が軽く5~8%くらい。

猫が100gの獲物を食べたら5~8gの骨を食べることになる。

そのうちのマグネシウムの量を約1%とすると50~80㎎と考える。

鶏肉やレバー100gに含まれるマグネシウムは19㎎。

100gの鶏肉には200~400㎎の卵殻カルシウムを加え、そこに含まれるマグネシウムは5~10㎎。

そうすると約26~50㎎の不足となる。

東京の水道水の硬度は60mg/l前後(軟水)。比べてエビアンの硬度304mg/l(硬水)となり、90㎖のエビアンを生肉ごはんに追加することで27㎎のマグネシウムを吸収しやすい形で補える。

(鹿肉や猪肉はややマグネシウムが多くなる。)

腎機能に問題がなく、マグネシウム不足の症状(エネルギー不足、骨や歯の弱さ、肌の弱さや湿疹、吐き気、消化不良、痙攣、イライラ、動脈硬化、糖尿病、心臓病など。)が疑われる猫にはエビアンを取り入れてみてもいいのではないかと思う。

 

コブちゃんの便秘がマグネシウムの不足を教えてくれたのなら、補うことによって他の300種類の代謝も回り始めたかもしれない。

不調は栄養不足を教えてくれる。

必要以上に薬で症状を抑えてしまえば、せっかくの改善の機会を見逃してしまう。

小さい不調を見過ごしていたら、それらはどんどん積み重なっていく。

いつか取り返しがつかなくなってしまわないように、栄養不足は改善していきたい。

 

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明日はもっと健やかになりますように。